TRAD(ティラド)様

生産管理システムのMendixによるDX推進とアジャイル開発の実現

株式会社ティラド様

独立系熱交換器メーカーとして自動車・二輪・建機業界で確固たる地位を築いている株式会社ティラド様では、拠点ごとに異なる業務フローや、長年のレガシーシステム&EXCELでの運用管理が課題となっていました。これらを刷新し新たなDX基盤を確立するため、当社とともにMendixを活用して国内でも有数の大規模アジャイル開発を推進しています。

株式会社ティラド

会社概要

創立

1936年11月11日(創業86年)

資本金

85億70百万円(東証プレミアム上場)

売上高

1,336億円 ※2021年度実績

従業員

単体 1,549名
連結 4,641名 [2022年3月31日現在]

事業内容

1.自動車、建設・産業機械等の各種モビリティや発電機・空調機器等に用いられる熱交換器製品の研究・開発および製造・販売

2.環境関連機器の研究・開発および製造・販売

3.熱エネルギー変換技術およびITを活用したソリューションの提供

株式会社ティラド

拠点ごとに異なる業務フローやシステム

「これまでの生産管理システムは、歴史的な経緯で​拠点ごとに業務フローやシステムが異なっていたり、旧来のプログラム言語での開発による多くの課題​がありました。

従来はそれでも人の手でなんとかなっていたのですが、多品種少量生産​ビジネスの急激な伸長に伴い、生産量と取扱品種が急増​し、個別最適の積み上げと人手での管理が限界を迎えていました。

しかし現場固有要件が多様なため、市販のPKGでは要件に合わない。そして機能追加の要求をまとめてシステムを完成させたとしても、その時点で既にビジネスの形態や要件が変化してしまっている、という問題がありました。」と話すのは、株式会社ティラドDX推進本部本部長の​鈴木幹芳氏。

株式会社ティラド

株式会社ティラド
DX推進本部 本部長:鈴木幹芳

ティラドDX全体構想

システムを刷新するにあたり、​拠点ごとに業務フローやシステムが異なる要因となっていた「現場の困り事を解決」のアプローチから、経営管理・生産管理の原理原則に立ち戻る方針に転換​しました。

そして従来は人が行っていたデータ分析をシステムに担当させ、人は対策立案や判断に集中する。これにより、以下のような効果を狙いました。

  • 設計管理システムPLM,ELMの導入による、設計生産性の向上

  • 経営シミュレータによる、​投資や経営改善の意思決定アシスト

  • Salesforceと設計管理システムPLMを連携させることによる、機種立上げのスピードUPとコストダウン

  • 販売予測システムによる、営業戦略立案アシスト

※PLM:Product Life Management(BOM+BOP管理)
※ELM:Equipment & Asset Life Management(設備BOM+保全など)

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図1.ティラドDX全体構想

現場の要件を引き出す開発手法

「拠点ごとに業務フローやシステムが異なる、という背景から、要件を当初から固められないためウォーターフォール型での開発は難しく、ヒアリングして要求分析してもうまくいきません。これらの課題を解決するにはアジャイル開発が必須で、具体的に動くもの(PoC)を現場に見せ​ながら要件を引き出すのがポイントだと考えました。」(鈴木氏)​

ローコードツールの選定要件とMendix選定

アジャイル開発のサイクルを素早く回すひとつの手段として、PoCを素早く形にできるローコードツールによる開発は欠かせません。さらに、仮説・検証サイクルを高速に実施可能なスクラムチームを編成し、複数のシステムを並行して開発する計画だったため、多人数&複数サービスのアジャイル同時開発に適したローコードツールであることが必要でした。

そして最終的にMendix選定の決め手となったのは以下の点です。

1. クラウドベースでPoC的なアプリをほぼノーコードで簡単に作れる

作ったPoCを現場に確認いただき、要件を引き出してまたPoCをつくる、というサイクルを早ければ毎週まわすことが可能な、理想的なローコードツールであったこと

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2. マイクロサービスの同時アジャイル開発の実現性​

全社DX基盤を構成するサブシステムを同時に開発する必要があったが、MendixはローカルでSandbox(開発ブランチ)を作って後でマージできる​ため、サブシステムを開発する各プロジェクトを同時にアジャイル開発することができた。
※他社製品はワンパッケージでしかできない&試作パッケージから本番PKGにタイプインする必要があり、アジャイルでのマイクロサービス開発には向いていなかった

3. 2021年にライセンス体系が大幅に変更され、安価に導入できるようになった

ローコードツール導入における最重要事項のパートナー選定

全社DX基盤開発でMendixを使用するにあたり、データ設計中心のアプローチでは使い勝手の面で問題が出やすく、UXの実現に関する制限が多い、といった注意点もあり、鈴木氏は以下のことを重視してパートナー選定を行ったといいます。

  • ベテランアーキテクトがいること

  • 上流設計での開発スタイルを持っていること​

そして2か月かけて約20社と面談した結果、最終的にビルドシステムをパートナーとして選定するに至った決め手としては、

  • (1)Mendix本社やワールドワイドのスペシャリストとの強固なネットワークを持っていることに加え、経験豊富な上流設計のスーパーアーキテクトがいるため、業務コンサル専任スタッフではなく、エンジニア自身が上流から業務要件を理解して大規模システムの設計を行うことができる。


  • (2)Mendixによるメリットを最大限に活かすため、要件定義で開発対象と範囲を決定し、次の開発期間(スプリント)で開発を実施する「ハイブリッド開発手法」を採用している。


  • (3)Mendix以外の他社製品含むローコード開発の経験が豊富で、ツールの特長やプロジェクト実戦での適用要件・ポイントを熟知している。そのため、ローコードツールの持つUXの制限や制約事項を回避するため、UX視点での仕様検討から始め、UI上の実現性や制限事項を見通すことができる。

「要件を決定しながらアジャイル開発で素早くPoCを作って、随時素早くサービスインしていきたい、という要件に最もマッチしていた」と鈴木氏は語ってくれました。

導入効果

ローコードツールとしてMendixを採用し、ビルドシステムを含むスクラムチームでプロジェクトを進めることにより、PoCの作成から現場のレビューまでが早くなり、現場とのPoCレビューによりこれまで気付かなかった本質的なDXの課題が浮き彫りになるようになりました。そして現在も生産管理システムを含む全社DX基盤の開発を進めています。

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今後の目標・展望

これまで生産管理DX開発の過程で培ったMendixの活用ノウハウを、調達DXをはじめとする他のDX分野にも横展開し、全社DX基盤開発を推進してまいります。

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