コラム

超高速開発ツールを比較してみる(続き)

2023/03/07

現在、国内で発売されている「超高速開発ツール」は約30社が提供されていますが、この中には様々なカテゴリー・機能の商品やサービスが含まれています。
アプリケーション開発を効率化したい、と考えて導入検討を開始しても、機能や利用方法、料金などは商品、サービスによって大きく異なり、選定はなかなか進みません。
最大限の効果を生むためには、利用用途、目的に合った商品・サービスを選択していく必要がありそうです。

<利用者と利用目的>―工数削減か内製化かー

従来アプリケーション開発は社内のシステム部門が基幹系、業務系、情報系などといったシステムのカテゴリーごとに長い期間をかけて方針を策定し、システムベンダーから情報や提案を受けて共同作業で構築してきました。
既存のシステムをリプレースする、再構築するなど、従来のシステムをベースに、その時々の追加の要件や機能追加はあるものの、要件を固めて設計が終わったら、あとは効率的に開発・導入を進めていけばよい。こんな場面では、従来型の「設計・コード生成ツール」を選択されるといいでしょう。
日本でも2000年頃からこうした設計・コード生成ツールが登場し、主にシステムベンダーの開発者が工数削減を目的として様々な場面で利用し、効率化を図ってきました。
ところが、2016年に始まったデジタルトランスフォーメーションの中では、アプリケーションの開発場面は爆発的に増え、ビジネスとシステムが一体化してスマートフォン、タブレットを使いIoT、AIでできることをいち早くサービス化することが求められます。現代においては、既存のシステム構築とはまったく異なる開発プロセスを念頭に置いてツール選びも行うべきでしょう。
ビジネス上必要となる機能やサービスを他社に先駆けて実現しようとすると、これまでのシステムは存在しないわけですから、新たに要件を洗い出してサービスをリリースし、その後顧客からのフィードバックを得て、要件の変更や追加を繰り返し行っていく必要があります。この時、これまでのシステム構築のようにシステムベンダーにRFI、RFPを提示してベンダー選定、その後開発、構築期間を経て納品、という開発プロセスでは、顧客からの要望や競合他社の新機能に対応しようとしても、とても間に合いません。
当社が考えるデジタルトランスフォーメーションに適合した「超高速開発ツール」(=海外ではLow Code Platformと言われています。)の選び方を考えてみます。

<4つの比較ポイント>

モデル駆動

「超高速開発ツール」は大きくは「コード生成型=コードジェネレータ―」、と「モデル駆動型」の2つに分類することができます。
コードジェネレーターはJavaなどのコードを自動生成する仕組みを持ったサービスで、生成されたコードを利用して技術者は自由にコードを組み合わせることができます。逆に言えば開発者が利用するツールと言えます。生成されたコードを元に、開発者が組み立ててシステム全体を作っていく作業を行う必要があります。
これに対して「モデル駆動型」はデータモデル、アプリケーションとプロセスのロジック、ユーザーインターフェースなどを定義するためにビジュアルモデルを使用します。これによって開発者だけでなく、ビジネス要件を決める社内の担当者もアプリケーションを開発することができるようになります。また従来のコーディングに比べて大幅に開発期間を短縮することが可能になります。

クラウド型

システムを構築する際に、その動作環境をどのように選択するか。まず、大きくはクラウドサービスを利用するか、社内環境を利用するかを判断することになると思います。
主に基幹系のシステムはリプレースや改修のタイミングであっても「セキュリティ」「サービスの安定性・継続性」あるいは「外部に預ける心理的不安」などの理由で80%を超える企業が既存のオンプレ環境上に構築しているとの統計があります。
一方、デジタルトランスフォーメーションに向けたプラットフォームと考えると、インフラの選定、調達、構築といったプロセスを可能な限り短縮し、さらに導入後の運用の負荷を軽減したいとのことからクラウドを利用するメリットが大きいと言えます。
ただしこの時、「セキュリティ」「サービスの安定性・継続性」「外部に預ける心理的不安」が障壁となって検討が止まってしまうケースもあります。サービスを利用する上ではこうした点からも安心できる提供元を選択するのがいいでしょう。

最新の技術

新しいテーマでシステムを構築しようとする時、最新技術を利用して最大の効果を求めたいと考えると思います。ただし新技術を利用する為には、技術を習得したり、想定以上の時間がかかってしまったりと、思うようにいかないのが現状だと思います。
超高速で開発を行いたいと考えた時、こうした最新技術を簡単に活用できることができれば、大幅に効果を上げることができます。プラットフォーム上にこうした最新技術に対応できるモジュールやコネクタがあらかじめ用意されていること、さらに開発者の手元でこうしたモジュールやコネクタが簡単に組み込めることも比較する上での大切なポイントと言えるでしょう。

コラボレーション

新しいテーマのシステムを最新技術を用いて構築する中では、はじめからすべてにおいて正しい要件が決められるわけではありません。要件を出すビジネス側は、ユーザーの声や市場の競合状況などにより変更や修正をどんどん求めてきます。これを受取る開発側は、開発の途中で軌道修正や追加変更を受け入れてクイックに対応していく必要があります。
変化する要件の連絡、開発の進行状況の確認、出来上がったアプリケーションの確認やフィードバックなどをビジネス側と開発側で同じ管理環境を共有し、この環境上で一元管理ができれば大幅なスピードアップが見込める為、こうした情報共有と管理が同時にできる環境が用意されているかどうかも注意しましょう。

以上の比較ポイントを踏まえて国内で販売されている主な超高速開発ツールを比較してみました。

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